2017年7月10日(月)新ダイヤ実施
2015年に実施した新ダイヤが、その後の情勢の変化により旅客の流動に合わなくなってきており、ダイヤの利便性が落ちてきていることに鑑み、現在の旅客流動にあわせた新ダイヤを7月10日より実施することになりました。上り/下りこちらをクリックすると大きな画像でごらんになれます ざっくりとした表(2008・2009年がないし…)で恐縮ですが、2007〜2016年度の各駅乗降人員の一覧です。2011年度は震災の影響でがくんと全体的に落ち込んでいますが、それ以降は北岡〜川東間に関しては回復、川東〜新澄里間は壊滅的とも言える落ち込みを示しています。 特に久川・大池・影法師駅の乗降人員が倍増と言ってもいい増えかたを示しています。これは2013年に北国高速道路が全通し、大池〜長沼間でいちご鉄道と交差することになったのがきっかけのひとつとなります。 大池駅に覆いかぶさるように北国高速が建設され、駅から800m東側には北岡インターができました。それにより利用客も急増しました。 大池駅から東に800mほど行ったところに北岡インターができ、この高速を使った北国地方の物流拠点が2013年ごろから建設されます。工業団地と物流センターの建設は雇用を生み、大池・長沼といった駅を中心に利用客が急増しました。 また、川東駅からバスで15分ほどのところにポリテクセンターができ、さらに遊休地を利用して大手通販会社の物流基地が建設されたことから、沿線への通勤需要が急増しました。 乗降客が伸びた駅のうち、大池・影法師の各駅は快速通過駅であり、これらの駅を快速が通過することは甚だ不合理といえますが、両駅を停車すると快速と区間快速の停車駅の違いは姫川を通過するか否かだけになってしまいます。 そこで、2017年の新ダイヤでは日中の快速・S快速はすべて区間快速に変更し、また時刻表を見ずに利用できるよう、現行の車両数で動かせる最大本数である毎時3本/20分間隔の運行とすることを決めました。
20分間隔で並ぶ北岡〜川東間のダイヤ。不定期列車の〈スイートボックス〉やJRツアーズからの団臨も、交換駅で運転停車させて定期列車優先で走らせている。 一方壊滅的な旅客減少を記録している川東以遠ですが、これは川東〜澄里間にできたすみさとバイパスの影響が大です。澄里方面から工業団地に通勤する旅客もないわけではありませんが、基本商業施設や居住エリアがバイパス側に移動してしまい、旧道や鉄道線沿線が急速に過疎化しているのが現状です。 対澄里の場合、所要時間では澄里〜川東間は快速17分、バイパス経由の自家用車でも同等の所要時間です。それでもこれまでは、川東からの道路事情が悪く、県道と国道893号線の交差点で発生する渋滞もあって対北岡では鉄道が有利な面もありましたが、北国高速の姫川インターができたことで、高速道路経由で北岡へ向かうと40分程度で到着できるようになりました。北国高速はいちご鉄道に恩恵と災難をいっぺんに与えた、というわけです。 いちご鉄道は軸重12tの相変わらずの簡易線規格。線形から言って85km/h以上の速度向上も望めず、車社会ゆえに駅勢圏もそれほど大きくないため、打つ手なしといったところが現状です。 加えて、旺盛な需要がある北岡〜川東間を20分ヘッドにすると3運用が必要となり、そこに澄里便をフリークエンシーを保ったまま加えると5運用となってしまいます。現状10両しか一般車両がなく、予備車がカツカツの状態での5運行はハイリスクです。そのため今回のダイヤでは、はっきり言ってしまいますと川東以遠を「見捨てた」ダイヤと言われても反論はできません。 新ダイヤで設定された代行バス。廃止となった姫川交通の旧道経由線を復活させたものですが、澄里町との協定上、運行せざるを得ません。
そういったしがらみから生まれた妥協案が、姫川交通による代行バスとなります。川東駅〜道の駅すみさと間に4往復の代行バスを設定し、利便性を下げないようにしています。もっとも旧道経由のバスなので、河東までの所要時間が48分と列車にくらべかなり遅いのが難点です。 ダイヤ上も「鉄道」として扱われている代行バス。いちご鉄道としても澄里町の顔を立てなくてはなりません。 結果4往復の代行バスとあわせて澄里発は1〜2時間に1本程度を確保していますが、区間快速通過駅ではバスとあわせても1日6往復。代行バスが通らない沢入駅では普通列車が1日2往復止まるだけとなっています。 国鉄末期は北岡〜澄里間7往復の運行だったいちご鉄道ですが、川東を境にくっきりと明暗が分かれた。そんなことを示したのが今回のダイヤなのかもしれません。 ホームページに戻る サマンサ 2006,2015,2017 |