いちご鉄道をもう一度

 

262号車ものがたり

 すみさといちご鉄道の現行フリートのなかで、もっとも数奇な運命をたどっているのはキハF260形262号車ではないでしょうか。8年前の2007年に「来るべき次世代の非電化区間における動力のあるべき姿を模索する研究会」略して「煮たまご」用の車両として、近畿車輛から納品されました。電装品は三菱電機製を中心に構成され、そのほかバッテリ関係はユアサなど他メーカーから調達しています。
 「煮たまご」ではこれまで主流だった液圧式のディーゼルカーに変わり、より省エネルギーでメインテナンスフリーでロープライスなクルマは作れるかどうかを模索するため、ありとあらゆる機器をモジュール化し、さまざまな実証実験に対応できるように作られています。
 モハ262型として投入された262号車はまず、燃料電池車としての試験を2009年まで行います。その後はパンタグラフを載せ、急速充電型蓄電池電車としての試験を行いますが、2011年に東日本大震災が発生し、煮たまごプロジェクトは中断の憂き目に遭います。
 その後は復興優先ということで262号車は澄里車庫に放置されていましたが、復興がひと段落着いた2013年に、F331形と同等のシステム、すなわちハイブリッド気動車として再生されました。
 さすがにこれ以上のシステムチェンジはおそらく起こらないでしょうが(いやいや、もしかしたらSiC素子を採用してバッテリをおろした電気式気動車になるかも…?)、7月の新ダイヤを前にまさかの塗装変更が行われました。
 もちろんこれは道楽で行っているわけではなく(本当か?)今後ステンレスカーが中心になったとき、塗装工程を省略するためのフルラッピングによるフィルムの試験として塗られました。その際紫外線の暴露に弱いとされている赤色の耐久性を知りたいとのことからあのようなカラーリングになったというわけです。じゃあなんでクリーム色も入っているかって? 赤一色だとくどいんですよ。
 そんなわけでいちご鉄道におけるさまざまな実験を一手に引き受ける262号車なのでした。

燃料電池車の時代(2007〜2009
 262号車は当初、燃料電池車として登場しました。地元のガス会社である北岡ガスの協力により、都市ガス(田舎なのに!)を澄里工場内に引っ張り、ガスを改質し水素を作りました。単車でも100キロ弱を走りきれる程度の燃料電池を搭載することが可能で、運用次第では有望ではありましたが、いかんせん水素の価格が高価で(軽油が安すぎるという言いかたもできますが)ランニングコスト面で時期尚早との結論になりました。

北岡ガスの全面ラッピングとなった燃料電池車時代の262号。走行性能は問題ありませんでしたが、いかんせん動力費が液圧式気動車の数倍では、中小民鉄や税金で走る第三セクターの手には負えませんでした。

262号車が来たおかげで、澄里車庫は禁煙になったんだよな…

水素がうっかり漏れたところに引火したらやばいからな。タバコの 火すら危ない
なるほど。でも禁煙はいいことですね
まあ、水素充填している横で鋼板の溶接とか平気でやってたけどな!

…だめじゃん


蓄電池車時代(2009〜2011)
 燃料電池を取り去り、床下に電気二重層キャパシタをぶら下げて急速充電を可能とした蓄電池車です。急速充電・急速放電にも対応。さらに充放電を繰り返してもバッテリの劣化があまり進まないという点はたいへん魅力的でした。しかし、当時は電気二重層キャパシタの充電深度が同じ容積のリチウム電池の10%程度しかないという欠点がありました。しかしそれ以上にいちご鉄道として致命的だったのは、北岡〜水郷間が交流電化なので、この区間での充電ができないということ。セルを稼ぐために座席のシーズヒータを取っ払って座席の下を全部キャパシタにするなどしましたが、それでも澄里で満充電にして1往復(約70キロ)するのはさすがに無理でした。交直両用に対応するにも、CIを載せるスペースなどどこにもありません。

やけくそ気味にキャパシタを積んでも、単車ではせいぜい20キロ。充電時間も急速充電とはいえ10分程度はみなくてはならず、ダイヤ編成上の制約になる懸念を拭い去ることはできませんでした。あと、充電設備を長沼の保線基地に作ったため保線からはかなり嫌がられました。
ここしかスペースがないからといわれて半ば無理やり長沼の保線基地に充電設備作られたんだよな。そのたびにトロの出し入れしなきゃならんからそりゃあもう面倒だった…
試運転列車を長沼で降りると、保線の方がものすごく嫌な顔してたの覚えてるわ
結局北岡に乗り入れすることなく終わったよな…車内にCI搭載する計画はあったんだけど、CIって重いんだよ。2500キロもあるからうっかりすると許容軸重超えるんだ
みんな、みんな簡易線規格が悪いんだよ
つまり社長が悪いと

ワッツ!?

ハイブリッド車時代(2013〜)
 2011年に東日本大震災で被災し、実験どころではなくなったため澄里車庫で放置されていた262号車でしたが、復興にあわせ261号車と同様のハイブリッド気動車とする方針が固められて2013年のダイヤ改正にあわせてリニューアルされました。いちご鉄道では現在、450馬力エンジンと120キロワットモータ2台の組み合わせに電気指令式ブレーキをシステムの標準と位置づけ、ハイブリッド気動車はすべて相互に連結が可能となっています。
 ハイブリッド気動車に特にこれと言った欠点はありませんが、重量がかさむのと室内に電気機器が張り出しているなどシステム面でこなれていないところがあるのが目下の不満です。

いろいろ試してみたものの、なんだかんだで確立した技術がいちばんでした。ずいぶん回り道をした感はありますがとんでもない。「現段階では使い物にならない」ことがわかったのは大成果です。
座席の下に蓄電池積んでたから、北国の列車なのに暖房がないという致命的な欠点があったのよね262号車は。とにかく寒いクルマだったけど、暖房が入ってやっと冬でも安心して乗れるようになった感じね
やはり液圧式ディーゼルカーと同等の距離を運用できなければ厳しいよな。蓄電池車は乗り心地も走りもよかったけど、いちご鉄道では使い物にならんよ
ハイブリッド車は保守も楽だしよく走るし言うことなしだな
ノーノー! 価格がベリーエクスペンシブね! もっとチープにディスカウントしないとマイナー田舎レイルウェイではとてもバイナウ案件にはならないね!
金策は社長の仕事で、あたしら関係ないもん
オーマイガッ!

ラッピング試験(2015〜)
 有機溶剤を使う塗装が環境問題の観点から見直しを迫られている昨今、塗装が必要な232号車「スイートボックス」とF260形の塗装を廃止し、フィルムラッピングで置き換えられないかというテストが262号車にて行われています。そういえばいちご鉄道初の全面ラッピング車、北岡ガスの広告車も262号車でしたね。

「懐かしくもない懐かしのカラー」に化けた262号車。紫外線暴露で赤色がどの程度退色するのかが注目です。とにかく赤は紫外線に弱いのよ……。なお、赤一色にならなかったのはさすがに赤一色は「くどい」からです。
他社には普通に数年持たせられる全面ラッピング車が走っているけど?
まあそれはそうなんだが、「鮮やかな赤」で「長寿命」というのはまだまだあまりなくてな…紫外線暴露でも劣化しない鮮やかな赤を表現したフィルムの試験というわけさ
ところで、この旧国鉄色っていちご鉄道で走った実績あるんですか?
ないな。いちご鉄道移管時点ですでに全部タラコ色だった
まあアレだよ。平成生まれでも「三丁目の夕陽って懐かしい〜」とか言うだろ? あんな感覚だよ
いや、平成生まれですがそんな感覚ありませんよ?

ホームページに戻る





サマンサ 2006,2015
  プロフィール  PR:無料HP  原町中央自動車教習所  請求書買取 口コミ 埼玉  アニメ 専門学校  タイヤ  中古ホイール 福井  タイヤ キューブ 新品  環境 専門学校  elf  アメジスト  神奈川 短大  通信制大学  ロゴ ホンダ 中古  シアリス 効果