キハF340形 キハF340形は2015年7月の新ダイヤに合わせて登場した両運転台のハイブリッド気動車で、2015年と2016年に各1両、計2両の投入を予定している車両です。2両編成のキハF330形を3編成も投入した後に単車を投入するとは穏やかな話ではありませんが、これは、利用客の増加が著しい北岡〜川東間のフリークエンシー向上と、利用客の減少が著しい川東〜新澄里間の輸送力の見直しを鑑みて、柔軟性の高い車両ということで決断されたものです。 ところで、いちご鉄道の形式のつけ方は、最初のアルファベットがエンジンの気筒数、そのあとの数字2桁がエンジンの実馬力、最後の1桁が一連番号となっています。後述しますがF340形は出力95キロワット×2(=330馬力)のモータで走行するので本来ならキハF330形とすべきですが、すでにキハF330形は存在するため、追番としてキハF340を名乗っています。ちなみにキハF260形も現在はF330形と同じモータを装備していますが、改番はされないまま現在に至っており、すでにこの附番方式は形骸化しているといってもいいでしょう。 閑話休題。基本的なシステムはF260形と(ついでに言えば単車であるということ以外はF330形とも)変わりません。エンジンも450馬力のSA6D-140H。ここから発電機で直流680ボルト、インバータで三相交流440ボルトをつくり、PMSMのMB-7050モータ(95キロワット/2,400rpm)を駆動します。ギアリングも7.79とF260形と同じです。 異なるのはVVVFインバータで、三菱電機のSiC-VVVFであるMAV-091-15VRH。PMSMなので2機搭載となっていますが、従来のインバータ装置よりも格段に軽量・小型化を達成しています。 しかし重量はアルミボディのF260形にくらべ、重量面では不利なステンレス製なので39トンと、ほとんど軽くはなっていません。これはインバータでの軽量化の分をステンレスボディとキハF230形との併結準備工事、すなわちECB-CCS変換装置を搭載したためです。 インバータ制御器がSiC-VVVFになり小型軽量化した分で、CCS-ECB変換装置を載せるスペースが捻出できました。 キハF340形の耳目は、老朽化したキハF230形の置き換えです。しかしコンセプト列車「スイートボックス」だけは今後も使う予定で、キハF340形には「スイートボックス」の併結相手としての仕事も予定されています。そのためECB-CCS変換装置が必要というわけです。 性能面でも、54キロまでの加速力が2.3キロ/秒、最高速度時速100キロという点も共通でまあ、性能面での面白みはまったくといっていいほどありませんが、WNギアカップリングは静音形の新しいものを採用したため、惰性走行時のギアノイズはずいぶんと改善されました。 システムデザインでの特徴としては、将来分割・併合が頻繁に行われることを想定し、幌を自動展開/収納できる機構を取り付けました。また、雪のため連結が困難になることを想定し、幌は貫通扉の奥に格納する方式に変更しています。このシステムがうまく行った場合、キハF260も同様な改造を検討しています。 キハF340形の営業運転は2015年7月4日からですが、キハF230「スイートボックス」の連結化改造が始まると併結試験などで運用を外れることもありますが、おおむねキハF260形のローテーションに入って単車で普通、2連で快速・区間快速に使われる予定です。 冬季は幌が雪まみれになると運用の途中で増結ができません。そのため、途中増結を可能とするためF340形では貫通幌を収納式としました。
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