乗り入れ車両 キハ171形・キハ77形 澄里エリアは過疎化に悩んで入るものの、名産のどくいちごや違法建築の町並み、ポケベル博物館など、観光資源は充実しています。そのため観光客の入れ込みには力を注いでおり、土休日運転の「スイートボックス」のほか、JRグループが販売する旅行商品「びゅう」やJRツアーズの旅行商品にも澄里エリアを対象にした商品が多数用意されています。 これらの旅客を澄里までダイレクトアクセスするために、JRツアーズが不定期ながら団体臨時列車をいちご鉄道に直通させています。使用車両は時期によって異なりますが、おおむねキハ171形の3両編成かキハ77形の2両編成どちらかがやってきます。 運転曲線はキハ77形に合わせてあるため、振子式のキハ171は振子を使う必要性はまったくありませんが、乗り心地を考慮して曲線データはを登録し、振子機能を作動させて運行しています。いちご鉄道の線内は最高速度時速85キロなのでそれ以上は出せませんが、それでも60キロ制限のカーブを本則+25キロの85キロで曲がれるため、キハ77で走るときよりもかなり早着気味の運転になるようです。そのため、サービスストップの滝神楽駅ではキハ77の列車よりも3分程度早着するのが常で、滝不動の見学時間もそれだけ長くなりご乗客にもささやかなサービスアップとなりますが、長沼(市民病院前)では交換待ちのためにドアも開けられず長時間とまる羽目になるのでプラマイゼロと言ったところでしょうか。 ツアー列車は澄里到着後、夕方の帰宅便まで車庫で昼寝となり、16時15分に澄里駅を発車し、帰宅の途につきます。他社では間合いで快速列車などの線内運用につくこともありますが、いちご鉄道では現在それは行っていません。 ツアー列車は「スイートボックス」とは異なり、平日でも催行人数に達したら運行されるため、平日ダイヤでも団体列車の姿を見ることができます。澄里を舞台にしたテレビ小説、『ザックばらん』放映中は、ほぼ毎日のように団体列車を運行していました。すばらしいですね。 ところで、震災復興後のいちご鉄道は復興費用を圧縮するためにすべての駅が2両分のホームしか用意されていません。キハ171は3両編成なのでその点が少々困った点ですが、団体列車なので乗降時間にそうシビアにならなくてもいいか、ということで1両ドアカット扱いとしています。 16時15分には澄里駅で、「スイートボックス」とJRツアーズの団体列車が並び、30分の続行で北岡に向かいます。ちょうどこの時間が日帰り観光客の帰る時間となるわけです。 震災復興後のいちご鉄道は2両ぶんしかホームがありません。そのため3両編成のキハ171はこのように1両はみだして停車(手前は震災前に使われていたホーム)の上、ドアカット扱いとしています。ホームは2両分ですが、有効長は各駅5両分あるので問題ないわけです。国鉄時代の遺産が生きています。
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