乗り入れ車両 キハ110形 すみさといちご鉄道の保有車両は現在の保守体制から言って現行の11両が限度です。一方で車両が車庫に寝ていては稼ぎにならないため、できる限り車庫から追い出すような運用が組まれているのもまた事実です。 そのため1編成が全般検査に入ったとき、さらにもう一本走行距離の関係で重要部検査に入ったり、車両故障でしばらく出場できない事態になると、走れる車両がないためダイヤに穴があいてしまいます。もちろんそんなことは陸運局も国土交通省も許してくれません。 そこで、そういった突発的な事態が発生した場合、JR東日本北東北支社から車両を借りる契約を交わしています。そのため数年に1回、1ヶ月程度の期間でJRの気動車がいちご鉄道を走る姿を見ることができます。 現在借用を受けている車両はキハ110形の2両編成。いちご鉄道には汚物処理装置がないためにトイレは閉鎖扱いとなりますが、そのほかはJR仕様のままいちご鉄道を走ります。 保安装置に関しては北東北支社のキハ110にはATS-PとATS-Sの両方を装備しているため問題はありませんが、扉が2扉というのがいちご鉄道的に不満なようで、キハE130形の導入を強く望んでいるようですが、あいにくキハE130形は暖地向けなので南関東支社にしかありませんし、他所様から車両を借りるのに選り好みするというのもどうかと思います。とはいえ、やはり朝のラッシュ時に2ドアのクロスシートは厳しいようで、さすがにラッシュのど真ん中に入る運用は避けているようです。 余談ですが、運転士や運行計画の人間の間ではJR車の運用を「わ運用」といっています。なぜに「わ」なのかというと「レンタカー」だからです。 閑話休題。このJR車のレンタル運用はいちご鉄道の開業時から恒常的に行われているもので、かつてはキハ58やキハ52がいちご鉄道を走っていました。このとき朝のラッシュど真ん中にキハ58がはいって大遅延を起こしたこともありました。というより国鉄川東線時代にもラッシュ時にキハ58が入線して乗降遅延を頻繁にやらかしていたので、第三セクター化のときはわざわざ大宮からキハ35形を購入したほどです。イチゴ鉄道がいまだクロスシートに対して消極的なのも、このキハ58時代の苦い経験があるからなのかもしれませんね。 寒冷地にもかかわらず3セク移行時にキハ35・キハ30の購入に走ったのも、ひとえにキハ58・キハ28のトラウマがあったからなのです。
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