湘南ストリームラインの電車といえば「赤」ですが、公式にはこの赤を「アブソリュートレッド/真紅」と読んでいます。そのなの通り真っ赤。RGBでいうところのFF0000です。ストリームラインの電車に赤を使うようになったのは1932年のSL-1からですが、このとき当局はそのつややかな赤に対し「赤は消防自動車以外に塗ること罷りならぬ」として認めませんでした。当時の湘南平塚電鉄がどんなに申し立てようが、「平塚電車は横浜市内および平塚市内で道路上を走るがゆえに、赤い車体は罷りならん」と取りつくしまもありませんでした。 それでも「赤い電車」にこだわったストリームラインは当局に泣きをいれ、予定の赤よりも彩度を落としたモノにすることでなんとか妥協をしてもらうことに成功。これを「深赤」と書いて「しんく」と読むことで面目を保ったのでした。 終戦後、東急平塚線改め湘南ストリームラインとなったとき「真紅」の復活を当局に申し入れましたが、やはり却下。それでもしつこく陳情を繰り返しやっと1956年に明るい赤の塗装が認められ、SC-3から順次「真紅」に塗り替えられていき、現在もこの「真紅」が基本塗装となっています。 ところで、湘南平塚電鉄や湘南ストリームラインは、なぜ赤の電車にこだわったのでしょうか。理由ははっきりと資料に残っていはいませんが、言い伝えによると、SL-1で最高速度時速85キロの高速運転を計画しており、そのためには周囲の風景に溶け込んだり、日の光や暗闇で見えなくなるような色でははダメ。もっとも人の目にビビットにうつる赤こそが高速電車にふさわしいという考えだったようです。 現在も最高速度時速110キロで高密度運転を行う湘南ストリームライン。真紅のボディに上下合わせて4灯のヘッドライトを耀かせて走る姿は、まさにインターバンのあるべき姿だと自負しています。 |