他社へ行ったストリームラインの電車
湘南ストリームラインは標準軌であるため、18メートル級のボディでもあまり譲渡例がありません。ストリームラインとしては鵠沼工場の技術力維持のために積極的に譲渡していきたいところですが、検査じたいもギリギリの人数でまわしていることからなかなか譲渡希望事業者とのマッチングも難しく、ここ50年で譲渡が成約したのは2形式16両だけです。
■ストリームライン190形→越前急行190形
ストリームラインではパワー不足であまり活躍できなかった190形ですが、そのうし6両が越後急行の190形として譲渡されました。越後急行は600ボルトなので、制御器は600ボルト用に結線を直し(2S2P→2S4P)、MTM編成をMT編成として2連3本を譲渡しました。越前急行では車体の大きさは程よいサイズだったのか、冷房改造やカルダン駆動などの改造も行われ、2005年まで使われました。
越前急行はストリームラインのようなインターバンです。ストリームラインでは本領を発揮できなかった190形も、越前急行では主力として活躍しました。
■ストリームライン250形→越山交通500系
SL-6が車体載せかえで大量に車体が余ったため、工場の習熟もかねて台枠・下回りを別途調達し、地方鉄道への売却を打診したところ、越山交通から打診があり、ワンマン化の上2両編成5本を譲渡することになりました。
床下はストリームラインで使用するため、台枠を自社で新造。手探りながらそこそこのものができたようです。
台車はJRよりTR212を購入。越山交通は狭軌なのでさすがにMB3020を使うわけにも行かず(MB3020はその比類なき低速トルクの代償で、重さも760キロあってでかいんです)、しかもこれまでストリームラインは標準軌のメリットを最大限に活かした大型モータ+WNドライブという組み合わせのみでやってきたので、中空軸平行カルダン駆動やTD駆動のノウハウがありませんでした。
そこでとりあえず「勉強用に」鵠沼工場で485系の床下機器を一式購入しいろいろ検討し、MT54をギア比5.6(これ以上は機構的に上げられません)、限流値390アンペア、1C4M永久直列でセッティングを試みました。制御装置は廃車になったSC-4からABFM-144-15DHAを流用、ブレーキはHSC-D。これもSL-4からの流用です。鵠沼工場はスペースが限られているためあまり部品を置けないのですが、ストリームラインでも当面は820形を運用するため、ABFMもHSCも(共食い前提ですが)なんとか部品の算段はつきそうという判断です。
500系は現在も越山交通の主力として活躍中です。
越山交通500系。2008年から2011年にかけて10両が譲渡されました。エアコンや制御器などは、SL-4の物を流用しています。 |