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湘南ストリームライン

 
SC-3(600形)
■基本性能
編成:6011(cMP)+6012(MCS)+6013(MCS)+6014(cMP)
重量:31.5+31.0+31.0+31.5
モータ出力:MB-5134(120キロワット)×4/両 ギア比:6.53(WNドライブ)
制御器:GTO-VVVFインバータ MAP-128-15VRH1
ブレーキ方式:MBS-R
加速力:54キロまで4.5キロ/秒・77キロまで3.5キロ/秒(混雑率250%まで一定)
減速力:常用4.0キロ/秒 非常4.5キロ/秒 最高速度:100キロ(認可100キロ)
 
軽い電車はいい電車
 1992年にストリームラインの運転サイクルを10分パターンから15分パターンに改訂することになりましたが、普通電車はこれまでの10分ヘッドから7.5分ヘッドとなり車両数が不足します。そのため不足の5編成を新規に製造する必要が生じ、新形式SC-3が企画されました。
 ストリームラインの普通電車は当時SC-1とSC-2が活躍していましたが、性能面で特に不満があるわけではありませんでした。にもかかわらず新形式をおこした理由は、車体がSC-1・SC-2とも鋼鉄製で塩害に手を焼いていること、いまや直流直巻モータの時代ではないことからシステムを一新すべきという観点から決定しました。
 車体はSL-6同様アルミ製となり、正面はFRP成型で造られています。これによりSC-2と比べて車体が軽く造れる見込みがたちましたが、ボディをアルミにした分での軽量化はたいしたものではなく、軽量化の大部分は床下機器の刷新が寄与します。つまり、上半身はそれほどダイエットしていないのに下半身ばかり軽くなる。これがどういうことかというと、重心が上がってしまうという弊害が起こるわけです。
 そこで、重量のバランスを取るために血のにじむような上半身の軽量化を行いました。車体はアルミボディのシングルスキン構造。ダブルスキン構造の方が静音性に有利ですが、軽量化の前にはそんなことは言ってられません。窓は一段下降窓を採用。これによって強制通風器を省略し、軽量化を計ることができます。SC-2のように固定窓という選択肢もありましたが、屋上に強制通風器を載せて重心を上げるのを嫌ったためのデザインです。
 正面はFRP構造です。もちろんこれも軽量化につながります。当時SL-6を担当していた浜野課長(当時)がSL-6の先頭部の首振りに悩まされていたのにヒントを得たそうです。のちにSL-7でも同じ手法がとられたことを見るに、浜野課長は相当悔しかったことでしょう。
 エアコンは集中式のものが1台、屋上搭載となっています。これも床下ヒートポンプ式にすれば重心が下げられるのですが、1,700キログラムのものを床下にぶら下げるメリットと、ごみやホコリで空調不作動が頻発するデメリットを天秤にかけて、屋上搭載と決めたようです。もっとも、オールMで床下の艤装はぎちぎちなので、エアコンを床下に置くのはまず無理だとは思いますが。
 屋上搭載と決まれば分散式を採用する理由はありません。慣性モーメントは重心からはなれるほど大きくなるのですから、重たい構造物は中央に置くのが鉄則です。これまでの車両は故障時のリスクを考え分散形冷房を装備してきましたが、SC-3で方針転換したことになります。窓を下降式としたのも冷房の故障を考えてのことではないでしょうか。
 パンタグラフも慣性モーメントを左右均等にするためダブルパンタとしたほか、軽量化を狙ってシングルアームパンタグラフを初採用。ひし形パンタグラフに比べ2/3の重量は魅力的でした。


SCシリーズは切妻という伝統がありますが、これは設計担当の沼田部長の考え方によるもので、おそらく他の人間が設計担当になったらSCシリーズにも流線型の電車が登場したのではないでしょうか。事実、沼田の急逝により浜野が途中から担当したSC-4は流線型で登場する予定です。

それでも全Mにこだわる
 このように上半身のダイエットにつとめた結果、車両全体の重量もM車にもかかわらず31トンと驚異的な軽量化を果たしました。しかし、正面はストリームラインらしからぬ貧相なものになっているのはいささか残念なところです。これは当時、特急用のSL-6と普通電車用のSC-3を同時に製造しており、予算がかつかつだったというのも理由のひとつにあげられます。それなら素直に3M3Tとか2M2Tにすればいいものですが、そこはストリームラインですのでオールMにこだわってしまいました。仲の悪いふたりですがそこは譲れないようです。
「だって、それカッコわるいだろ?」
「だってなあ、カッコ悪いじゃんそれ…」
 足回りはGTOーVVVFインバータ制御で、1C8MのMAP-158-15VRH1。モータ出力は120キロワットのMB-5134。ギア比は6.53となっています。このスペックで加速力は時速54キロまで4.5キロ/秒、77キロで3.5キロ/秒となり、SC-2と比べても圧倒的な高加速性能になりました。もちろんモータの潜在的な力もあるのですが、軽量化のおかげで無理なくパワーが伝達できたのも大きいとのことです。
 しかし当時のVVVFは通称「四畳半」といわれる床いっぱいの大きな機器で、さらにフィルタリアクトルがでんと鎮座しているために艤装はいっぱいいっぱい。1C8Mとした理由も補助電源装置をなんとしても載せるためになんとしても2両で1コントにせざるを得なかったのが理由です。このように艤装に余裕がないためピットで頭をかがめて通らなくてはならず、保守陣からは(SL-6も含めて)評判は今ひとつでしたが、いざ運転をするとなるとその素直な走りに絶賛するという、なんとも妙なことになってしまいました(注:ストリームラインでは工場の人間が運転士を兼務します)。
 ブレーキは全MということもありMBS-R。T車遅れ込みブレーキなど必要がないストリームラインならではの選択です。HSC-Rのような気まぐれもなく、スパーンと毎秒4.5キロで減速するSC-4のブレーキは乗務員のお気に入りとなりました。同じMBS-RのSL-6よりシャープだとは全乗務員が認めるところで、これはひとえに徹底した軽量化の賜物と言えましょう。
 台車はKD-330。ストリームライン初のボルスタレス台車です。これまで盲目的にシュリーレン台車を選択してきたストリームラインですが、沼田は将来シュリーレン台車が製造中止になることを見越して、普通電車用ならそう乗り心地にこだわるまい、ということで新しい台車のあり方を模索するため、あえて採用したそうです。駆動方式はWN。問題のない部分は変えないというのはエンジニアリングの基本ですが、それ以上に特急用で使い込んだ、クラウニングのへたったギアカップリングを流用することで安くあげられるという目論見もあったようです。

「犬猿の仲」であった浜野担当のSL-6(左)と沼田担当のSC-3(右)。お互いの考え方が色濃くにじみ出てはいますが、システム面でお互い納得がいけばそれを取り入れる程度の「理性」は持ち合わせているようです。意地とプライドは違う、わけです。

ストリームラインの面汚し
 乗務員にはその高い運動性能が評価されたSC-3ですが、旅客の評判はいまひとつでした。なぜなら軽量化の代償として静粛性がからっきしで、固定窓でありながら騒音レベルはSL-5とどっこいどっこい。SL-6とは比べるのもおこがましいほどの「大差」がつきました。沼田部長は「普通電車なんだからこれでいいんだ」とは言いますが、浜野課長は当時それが許せず「ストリームラインの面汚しが!」とジスコン棒で殴りかかり、取っ組み合いの乱闘になったこともありました。
 それでもSC-3は所要の5編成が作られ、現在も井土ヶ谷〜平塚・寒川間の普通電車で活躍しています。まだ新しいこともあり当面廃車は考えられていません。余談ですが2014年初頭のデビューを目指して製造中のSC-4は、基本設計を沼田取締役が行ったところで急逝。あとを浜野部長が継いだため、計らずもも「沼田・浜野の合作」となりました。
 沼田が最後に遺した言葉は「浜野! てめぇにSCの何がわかる!」でした。
 冥福を。

結果として沼田が担当した最後の車両となったSC-3。膠着したストリームラインの「伝統」に真っ向から異を唱え、時には独善に過ぎることもありましたがストリームラインのあるべき姿を強烈に唱え続けました。そしてそれに異を唱える浜野がまた、次世代のストリームラインを作り上げていくわけです。決して一枚岩ではないストリームラインですが、これからもかっこいい電車を走らせるため、それぞれが考えるカッコよさを見つけ、意地を張り合うことでしょう。

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