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湘南ストリームライン

 
700形
■基本性能(デビュー当時)
  編成:7011(cMP)+7012(MPC)+7051(cTGC)
  重量:27.5+26.0+20.5
  モータ出力:MB-3020S(125キロワット)×4/両 ギア比:5.85(WNドライブ)
  制御器:ABFM-148-15HDB(1C8M)
  ブレーキ方式:HSC-D
  加速力:34キロまで2.3キロ/秒(混雑率100%基準)※応荷重装置無し
  減速力:常用3.5キロ/秒 非常4.5キロ/秒 最高速度:100キロ(認可95キロ)
 
実働3時間でペイできる車両
 高度経済成長時代、ストリームラインの旅客数もうなぎのぼりに増加し、さらに追い討ちをかけるようにオイルショックによる自動車の乗り控えでラッシュ時は殺人的混雑の様相を呈しました。しかし、車両数はそれにまったく追いついていませんでした。地下鉄直通用のSL-4が高価なのはしかたがないとしても、電機子チョッパ制御のSC-1といった分不相応な高価な車両を投入していたため、ラッシュ時の準急・急行用や普通電車用の車両は1952年製造のSL-3が「マシ」なレベルでSL-2がまだ現役という状態。切り札として作った190形は性能不足でアップアップしているため、旧型車からの更新は諦め、できるだけ安価に新型車両を作ることにしました。これが700形です。

ラッシュ時専用車両と割り切り、システムデザインを徹底的に簡素化した結果、車両価格はSL-4などと比べても大幅に安くなり、短期間での量産が可能となりました。

 700形はとりあえず、SL-2と190形の後釜として40両は必要でした。しかし、ストリームラインにはそれほど潤沢な予算があるわけもありません。
 そこで、700形は徹底的にコストを削ったラッシュ時専用車両として割り切った車両とし、日中も走らせる特急用・普通電車用はそれなりの設備を持たせるハイ・ローミックスでいくことになりました。そのため「ロー」である700形は、極端な話1日3時間、2往復程度の運転で採算が取れる車両としなくてはなりません。


台車は金属ばね、パンタグラフやMG、CPなどは旧車の流用など制作費を徹底的に節約して造られた車両ですが、ラッシュ時を乗り切るだけの性能は持たせているのが「ケチ」とは違う点です。ただ、応荷重装置がない点だけは運転士に不評でした。

徹底的に低コスト
 700形のコンセプトは「徹底的に低コスト」です。そのため、ストリームラインが理想とするオールM編成は放棄し、cM+M+cTの2M1Tとし、制御装置は1C8MのABFM制御。電気ブレーキは省略し、力行のみ24段+弱め界磁4段の直並列制御という徹底的な割り切りを行いました。また、パンタグラフ、MGやCPは廃車する旧型車から流用することにしたため、機器類は編成によってまちまちとなりました。
 モータはSL-4で実績のあるMB-3020。コントはABFM-148-15VAの1C8M制御となっています。ブレーキは電気ブレーキを省略したHSC。台車はシュリーレン台車は高価ということで、ペデスタル式金属バネ台車を装備する案もありましたが、そこはさすがに金をかけるべきだろうということで枕ばねが金属ばねのKD-36Sを装備。しかし積空比が大きい通勤型、しかもラッシュ時に集中的に使用する車両としてはバネ定数がやわらかすぎて、乗り心地は今ひとつでした。なんせ当時は乗車定員300%なんてのが当たり前で、金属バネは遊びがほとんどない状態になっていました。LVで調整の効くエアサス台車KD-64を装備するSL-4と比べても乗り心地の差は歴然で、ストリームラインはその後金属ばねの台車を採用しなくなりました。
 駆動方式はSL-3以来のWNドライブ。当初は安価なツリカケ式にしようという意見もあったそうですが、それはさすがに190形の前例もあり、将来に禍根を残すということで却下されました。走行性能はラッシュ時の通勤急行・準急の運転が勤まればいいという考えからギア比を5.85と高めに取っており、時速34キロまでの加速性能は2.3キロ/秒、最高速度は95キロという性能でした。しかし応荷重装置がコスト削減のために省略されたため、満車になると限流値増NFBを投入しても、いいところ2.0キロ/秒程度。それでも190形よりはぜんぜんマシな性能で、減速力は190形のSMEよりも圧倒的にすぐれた、合成制輪子と応答性のよいHSCブレーキのおかげで3.5キロ/秒を出せたので、加速が劣る分をブレーキの飛び込みで取り返す運転ができるようになりました。700形はいろいろ安くあげてはいますが、190形での失敗を活かし、性能の割には「使える」電車に仕上がりました。

かまぼこ電車
 お金をかけないところはとことんかけないというコンセプトの元、車体もとにかく無駄な造作はいっさいない、ストリームラインという名前の対極をいくかまぼこのようなスタイリングになりました。そういえば、当時「プラレール」でこんな形の電車が登場したことから、「プラレール」というあだ名で呼ばれることもありました。1990年ごろに「通勤電車」を真っ赤に塗ったプラレールを「ストリームライン700形」として限定販売したこともあります。
 扉はSL-4と同じ両開き3ドア。ラッシュ専用ならSC-1と同じように両開き4ドアにしてもよさそうなものですが、そこは伊勢原や平塚からの遠距離通勤客を考慮して座席数増加を優先したのでしょう。とはいえ座席は収容力優先ということで、座面高さ460ミリ、座席幅410ミリ、座面奥行き470ミリという酷いもので、とにかく着座できればいいというレベルでした。そのくらい当時のラッシュは酷いもので、現在のSL-7が装備するような座席はとても導入できませんでした。
 SL-4に搭載された冷房は、ラッシュ時専用ということで700形には装備されませんでした。冷房用のMGが約1,100キログラム、分散型の冷房が1基約500キログラム。18メートル級だと3基は必要なので1,500キログラム。つまり冷房を装備するだけで2,600キログラムの重量増になります。それだけではありません。重くなる分車体の強度を上げなくてはならないので、冷房を装備することで約3.5トン重たくなると見積もられました。そうなると車両価格だけでなく電気を余計に食うためランニングコストも上昇します(冷房を載せないならMGは旧型車のものを流用できるというメリットもありました)。87%引きの通勤定期旅客、92%引きの通学定期旅客のためにそのような投資をすることはできないというのがストリームラインの判断でした。もっともこの、冷房を載せない分軽量化を進めた結果、冷房改造が困難で早期に廃車されてしまったのは残念なところでしたが。
 とにもかくにも700形は、朝のラッシュ3時間を乗り切るためだけに目的を特化したデザインで生まれたのです。

「かまぼこ電車」と呼ばれた切妻の正面。同じ切妻までもSC-1などはまだ多少の色気がありましたが、700形は見事なまでに無味乾燥でした。
 

汎用性のなさが仇に
 700形はラッシュの3時間を乗り切るためと割り切って作られました。冷房もラインデリアも蛍光灯カバーも読書灯もない簡素な車内に当時の旅客は驚いたようですが、SL-3では積み残しが出るようなラッシュでも700形はきれいに攫ってくれるので、駅員や乗務員の評価は上々でした。価格もSL-4の半額程度と(つまり、SC-1の8割引だ!)極めて安価に作られているのため営業課からも好評で、特急用はSL-4を最低限の両数増備する一方で、旧型車両の置き換えは700形で推進しました。結果、700形は3連20本60両という(ストリームラインとしては)大所帯となり、ラッシュ時は平塚発と伊勢原発の急行が新鵠沼で連結し、6連で井土ヶ谷に向かう運用に集中的に投入され、混雑緩和に大いに貢献しました。
 しかし車両数が増加するとラッシュ時だけでなく日中にも700形が進出するようになり、特急はSL-4、急行は700形、普通電車はSC-1とSL-3という使い分けがなされるようになりました。しかし80年代に入るとSL-3の置き換えにSC-2が入るようになり、そうなると特急と普通電車が冷房つきの電車で運用されるのに、急行だけ全列車非冷房という状況になり、列車種別でサービスが異なるのはいかがなものかということで、700形を今後どうするかという話がストリームラインで持ち上がります。
 結果SL-6を新造してSL-4をラッシュ用に転用して700形は順次廃車となります。製造からわずか15年程度で廃車が始まることになりますが、軽量構造で冷房改造が困難なことが寿命を縮めました。実際700形の処遇を決める前に、ステンレスカーの810形を冷房改造し費用対効果の検討がなされたのですが、改造費用と新造費用をはかりにかけたとき、心臓のほうがよいという結論になったわけです。ただ、190形とは違い、700形は日中にもガンガン使って結果として車両価格分以上に稼いでくれたので、ストリームラインとしてはよしとしたのでしょう。
 700形はSL-6が1988年にデビューすると入れ替わりで廃車が進みます。一部の車両は小磯線や寒川線の寒川〜伊勢原間小運転用として残存しましたが、1995年までにSL-4改造の820形に置き換えられて全廃。このとき湘南ストリームラインは冷房化率100%と保有車両の全車両が電動車を達成しました。
 このようにストリームラインの成長期を支えた700形ですが、他社への譲渡は冷房改造困難ゆえに1両もなく、数両が個人や企業に引き取られたようですが、公式には現存する車両は存在しません。

700形の廃車時に車両を譲渡する旨を新聞広告に掲載したところ、数件のオファーがありうち4件が成約となって保存されました。画像は村田幼稚園に保存されている713号車。園長以下スタッフのたゆまぬメインテナンスのおかげで良好な状態を保っています。

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