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湘南ストリームライン

 
SL-7(300形)
■基本性能(2013年現在)
編成:3011(cMP)+3012(MCS)+3013(MP)+3014(MCS)+3015(MP)+3016(cMCS)
重量:34.5+33.5+34.0+33.5+34.0+34.0
モータ出力:MB-5091(190キロワット)×4/両 ギア比:4.00(WNドライブ)
制御器:MAV-194-15VH1(1C4M2群)
ブレーキ方式:MBSA-1(純電気ブレーキつき)
加速力:110キロまで3.3キロ/秒(混雑率250%まで一定)
減速力:常用4.0キロ/秒 非常4.5キロ/秒 最高速度:180キロ(認可110キロ)
 横浜市営地下鉄ブルーラインは2007年までに駅にホームゲートを設置することを発表。乗り入れを行っている湘南ストリームラインにも、横浜市交通局3000形と同じドア配置の車両を投入することを「強く」要求。ストリームラインは2007年までにホームドア対応の新型車両を20編成揃えることとなりました。当時、ストリームライナーの運用は19運用で、それに対応するのが10編成在籍のSL-6と8編製在籍のSL-5、2編成のSL-4でした。ストリームラインは1999年にSL-7プロジェクトを設立し、SL-4、SL-5の置き換えに10編成の新型車両を製造することとなりました。これが300形SL-7です。

■屈辱と復讐
 ストリームライナーは「流れるような乗り心地」を売りとしていますので、いかなる条件下でも「乗り心地」だけは死守しなくてはなりません。特にSL-6は重量バランスのわずかな狂いから(他社では問題にならないレベルではあるんですが)先頭部の首振りが問題となり、「ストリームラインの意地を捨てたか!」と罵られる屈辱を設計担当だった浜野は味わいました。それゆえに台車は当初、重量増を受け入れSL-6同様のKD99シュリーレン台車にこだわりましたが、メーカーがすでにシュリーレン台車の製造を行っておらず、やむをえず軸梁式のKD350台車を履くことに。しかしボルスタレス台車はヨー方向の挙動を制御しないと車端部で跳ねるような挙動を見せてしまう(そしてヨーダンパはこれらの動きに対し無力)ため、車体同士がねじれを相殺し合うように車体間ダンパを設置せざるを得ませんでした。振動はエネルギであり、エネルギは何らかの形で放出しないと別の場所で「悪さ」をします。そこで枕バネに横方向への動きを制限するストッパを装備して、ヨーイングへの予防としています。結果SL-6よりも若干乗り心地が堅くなってしまった嫌いはありますが、それでもまずまずの乗り心地を確保できました。ヨーダンパはレールへの負担が大なため装備していません。
 次に煮詰めたのが台車間距離です。SL-6は18メートル級としては標準的な12,000ミリですが、SL-7では走行安定性を重視して12,300ミリに設定。わずか300ミリの差ではありますが、車端部のバンプを減少させることができました。本来はロングホイールベース化による台枠強化に伴い、台枠重量が増える分どこかで軽量化しなくてはなりませんが、これは台車の軽量化で相殺しています。もっともその結果重心が高くなってしまい、曲線通過性能はSL-6に一歩譲る形となりますが、最高速度を時速110キロから上げる計画は当面ないので見切りました。なお、ホイールベースはSL-6と同じ2,100ミリです。


連結面に装備された車端間ダンパ。SL-6ではシュリーレン台車が16本の金属ばねでローリングをダンプしてくれましたが、軸梁式のKD-350ではそんな期待もできません。したがってこんな「余計な装備」が必要となりました。
 

 モータはMB-5091。出力は190キロワットです。SL-6同様オールMの強力編成で、モータはさらにパワーアップし190キロワット。トン当たり出力で言えば新幹線に匹敵する力になりましたが、これをギア比4.00とし、定トルク領域も定電流領域も3.3キロ/秒で傲慢に加速、時速110キロまでの加速力が3.3キロ/秒という暴力的とも癒える走りを実現しています。
 この走りを支えるVVVF制御装置はMAV-194-15VH1。MAPではなくMAVという型番が示すように、IGBTをIPM(インテリジェントパワーモジュール)でパッケージ化したコンパクトな制御装置を採用。これを1C4M×2群で1ユニットを組みます。トルク確保とコスト、使用電力量を天秤にかけ、IPMモジュールにより機器の小型が達成できた結果、1C4Mがいちばん経済的に成立するということで決まりました。駆動方式はWNですが、多少でもノイズを軽減するために低バックラッシ化を(できる範囲で)行うほか、インターナルギアに注入するオイルの材質を再検討するなど、可能な限りの騒音対策をはかっています。現在の技術であればWNにこだわる必要はあまりないという考えもありますが、民鉄の中ではかなりタフな走りを(特に低速域で)するストリームラインでは、やはりパワーの伝達が確実なWNがいちばん信頼できる方式なのです。

もう「ストリームラインにふさわしくない」とは言わせない
 ストリームライナーは伝統的に先頭形状が流線型であることが求められます。別にそんな80年も前の流行を今に受け継がなくてもいいような気もしますが、担当者である浜野は「商品のブランドとしてストリームラインをご乗客が求める以上は、それに応えるのがストリームラインの使命だ」ということで、流線型の先頭形状にこだわりました。
 SL-6がどちらかと言うと角ばった形状で評判を落としたため、SL-7では紙風船をイメージした、曲面を多用した形状となっています。お金がないストリームラインにしては贅沢なつくりですが、これは後述するようにFRP整形で比較的自由に形状を安価に作ることが可能となったためです。とはいえ平板を組み合わせるよりははるかに高価なことには変わりありません。なのでほかでコストを削る必要がありました。そこで浜野はかねてより懸案だった「固定窓」を全面的に採用しています。固定窓の利点は車両構造を単純化できること、そして「ついでですが」静粛性を高めることも可能です。このメソッドはSC-2で採用されていますが、SC-2は仇敵の沼田がデザインした車両。つまり浜野的には沼田メソッドを受け入れるという「屈辱」を味わうわけですが、つまらないプライドよりもストリームラインの伝統とは何かを考え、「プライドと意地は違う」と浜野は自分に言い聞かせ、固定窓を採用したそうです。
 さらに走行機器やエアコン、補助電源装置などは標準品を極力使ってコストを抑えることも検討されました。。モータ出力190キロワットを選定した理由はまさに「標準車両規格のモータを使う」という大義名分がありましたが、標準品の定格回転数1,890rpmではストリームラインにとって余りにもお粗末ということで、定格回転数3,300rpmのMB-5091を新調してしまい、当然そうなると制御器もその大電流を制御できる高級品となり、このあたりのコンセプトは台無しとなってしまいました。
 なんかもうどうでもいいことかもしれませんが、側面のドアは横浜市営地下鉄3000形と同じ1.5メートル幅の3ドア。ドア間6人がけとなっています。また、ガラスの種類を少しでも減らすために車端部を広めに取り、カットガラスの種類を2種類としています。まあ、これによって下がるコストなんて微々たるものですが……。

SL-7(奥)とSL-6(手前)。SL-6は機器流用、SL-7は新造という違いはありますが、予算が「他所の金」ということで可能な限りの贅沢を施しました。仮に次期新車SL-8が登場したとき、このような贅沢ができるのでしょうか? いやできまい。

メーカーにも呆れられた乗り心地の追求
 先にも記したように、SL-7はストリームラインのフラッグシップということで乗り心地にはことのほか気を使いましたが、中でもメーカーを呆れさせたのが先頭部の造作です。よく見ると運転台の前後でコンタが異なっています。実はこれ、先頭部の一部をFRP成型としているのです。先頭車はその流線型がゆえに車両の前後で重量のバランスが均等ではないため、その釣り合いを取るために運転台付近の軽量化が必要でした。そのため重心にかかわる先頭上部はFRP成型として軽量化。ボギーセンターも車端側に360ミリずらすして左右動を抑えています。このへんもSC-3で沼田が見せた手法ですが、浜野もそれを認め、SL-7で採用。ただそれだけではあまりにも情けないので、浜野なりの追求として先頭車にはフルアクティブサスペンションを装備し、横動を感知したらエアシリンダで反対方向の力を加え、振動を打ち消すことまでやっています。車体間ダンパの効果は両先頭車までに及ばないため、より完璧な走りを目指すならアクティブサスペンションしかありませんでした。とはいえ、通勤形電車でここまでやるのは異例のことです。実は自己操舵台車も視点に入れてはいたのですが、急カーブがそこまで多くはないストリームラインでは過剰投資となるということで見送られています。
 とにもかくにもSL-7の乗り心地はどこに出しても恥ずかしくない高級なものとなりましたが、メーカーからは「ストリームラインさんはグリーン車でも造ってるんですか」と呆れられたそうです。浜野はしかしこういったそうです。
「ストリームラインですから、精一杯の意地を張らないと」

乗務員扉と客室窓の間付近でコンタが変化しているのがわかるでしょうか。ここがアルミとFRPの継ぎ目です。また、台車がかなり前によっているのもロングホイールベース、ショートオーバーハングを追求したためです。また、先頭台車には降るアクティブサスペンションも装備。贅沢といえば贅沢ですが、KD-99Sシュリーレン台車が使えればこんな苦労はなかったんですよ……。

ストリームラインの看板。しかし運用はギリギリ
 SL-7はSL-6と共通運用で、日中は特急・区間特急に、ラッシュ時はそれに加え一部の通勤特急に使われます。SL-7とSL-6合わせて20編成で特急運用19運行を担当しているため、特急系統以外の運用にはまず使われませんし、SL-5の置き換え用などの増備計画もありません。6両で12億円もする電車を昼間眠らせておけるほど、ストリームラインは儲かっていないからです。

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