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湘南ストリームライン

 
ストリームラインの全車電動車主義

 ストリームラインでは、現在386両の車両を保有していますが、そのすべてが電動車というきわめて珍しい構成になっています。路面電車のように単車主体の路線を除けば所属車両すべてが電動車なのは一畑電車とストリームラインだけです。
 この全車電動車主義は趣味誌などでは「鵠沼工場の趣味でやっている」ような書きかたも時にはされますが、ストリームライン独自の事情から、それなりに理屈をもって全車電動車を現在まで続けているのです。


本線用、普通電車用はもちろん、小磯線用の810・820形までもストリームラインはすべての車両が電動車です。

アンジュレーションの問題
 ストリームラインの電車が全車電動車になったのは1995年のことで、それまではTやcT(ストリームラインではTc・McではなくcT・cMと表記)も存在しました。1960当時、急行用や特急用の車両は2M1T〜2M2Tの3〜4両編成を組んでいました。
 ストリームラインではライバルに東海道本線を持つ関係上、それなりにスピードを出さなくてはならないのですが、1500ボルト昇圧後にSL-1の機器を流用し、弱め界磁を多用して運転する190形に整流不良が頻発しました。原因はアンジュレーションです。ストリームラインの茅ヶ崎〜平塚・小磯間は海岸沿いで地盤で、さらに今のような厚い道床ではなかったため、線路のアンジュレーションがどうしても精度を保てず、震動が過大となるのが原因でした。実は路面不整という事実はSL-1が登場した1932年の段階で認識はされていました。それゆえに「ここいちばん」のクルマ、たとえばSL-1、SL-3、SL-4などはオールM編成で登場しています。
 これらの特徴は「大トルクモータを低回転で回す」ことにあります。SL-1のMB-98A、SL-3およびSL-4のMB-3020モータはいずれも低回転モータです。これを高速側のギアリングにすることでモータの回転数を抑え、フラッシオーバ(ストリームラインではフラッシュオーバー/閃絡のことをなぜかこういいます)を防いでいたわけです。しかし、低回転モータを高いギアリングで設定すると、MT編成ではとんでもなく加速力が下がってしまいます。それゆえのオールMなのです。
 しかし、オールM編成は高価です。ましてや600ボルト時代は三菱電機が提案した1C8M方式が使えず、3両で3コントなどというセッティングがまかり通っていました。これでは「稼ぎに追いつく貧乏なし」とは行きません。1両でも車両が必要である高度成長時代、ストリームラインは「妥協」したのです。
 それが190形で裏目に出たわけですが、このときの経験が「いつかは全車電動車」とストリームラインの中では認識されていたようです。その後、フラッシオーバの原因となる釣り掛け車のMT編成を減らすべく、ラッシュ専用車両として700形が2M1T編成で登場します。相変わらずオールMは実現できませんでしたが、駆動方式がWNドライブになったこで車輪とモータの間にばねが入ること、速度の出ないラッシュ時の運行に限定すること(この理想はあっという間に崩れましたが……)として、事故件数を減らすことで「当面は」対応することにしました。 ストリームライン最後のcTとなった7060号車。個人宅に保存してあったものを引き取り、今秋開館予定の「STREAMUSEUM」で公開する予定です。


2M2Tで走る1960年代後半の急行。弱界磁運転で高速運転(=高回転)を行うと、フラッシオーバや車輪の波状磨耗増大といった現象が、ギアリングをあげたつりかけ車の急行で顕著に現れました。

回生ブレーキの活用
 優等を高速運転させるためには普通電車が速やかに待避線まで逃げ切る必要があります。そこで、ストリームラインでは阪神電鉄でも行われている普通電車専用車の製造が計画され、チョッパ制御を採用することからSC(スト リーム・チョッパ)車と名づけられました。このとき回生ブレーキを有効に活用するため、高い定格速度(ギア比4.82で約51キロ)の取れるモータとして、MB-3064AXを採用しましたが、同時に加速力を稼ぐために、結果として全軸駆動とすることになりました。4両編成で160キロワットモータオールMという構成は、ストリームラインでは完全なオーバースペックですが、これはあくまでも高速からの回生ブレーキを有効に使う目的と加速時の空転防止のためであり、モータのフルスペックを使うわけではありません。

普通専用車として登場したSCシリーズは、サイリスタ・チョッパ制御特有の回生ブレーキ性能を有効に活用するため、定格出力の高いモータを低回転で使用するという方法をとっています。
 

静粛性を求めて
 ストリームラインの全車電動車主義を支える哲学のひとつに、低回転大トルクモータの採用があります。これはMB-98AからSC-2のMB-3064AXまで、直巻モータは一貫してトルク重視としています。これは先述したアンジュレーションの不均衡から、藤沢以遠で高回転モータの特性が不利になることから採用していたのですが、低回転モータですからこのままでは高速域で速度が出ません。そこでギア比をたとえばMB-98Aなら2.45程 度まで下げるのですが、こんどはまともな起動ができません。そこで、電動車を増やして加速力を確保する。それが結果として全車電動車の構成となったわけです。
 さて、問題の多かった藤沢〜平塚間は1980年に全線の高架化工事が完了し、線路規格も一気に2段階上がりました。これにより回転数の抑制を気にしなくてよくなったと言うことで、SL-5は高回転モータをミッドギアで回すセッティングとなりました。見た目こそは6両全車電動車ですが、将来Tを中間に2両入れた8両編成も計画しており、120キロワットモータのギア比5.45というセッティングは6M2Tで54キロまでの加速力3.3キロ/秒を維持できる性能を持たせています。しかし、実際に高回転でモータを回すとどうしても騒音が消せません。通勤型とはいえ特急に「品」を求めるストリームラインとしてはそれは許容できるものではありませんでした。
 そこで、SL-6からは再びオールM前提のセッティングとなります。ギア比は4.21が標準となり(原宿線870形では3.5まで下げましたがさすがにやりすぎだということがわかりました)、モータの回転数を可能な限り落として静粛性を高めました。

 1989年に作られたSL-6はVVVF制御にもかかわらずモータ出力150キロワットの全軸駆動というシステムを採用しました。これについてはSL-6の項目に詳細を譲りますが、他社がVVVFの高い粘着性能からMT比を下げる方向に向かっていたのに対し、それに逆行する方針を採ったために、業界やマニアの間では理解しがたいメソッドととられてしまったことは否めません。


保守の問題だけでなく、乗り心地の面からもオールMは有利であることがわかり、ストリームラインでは静粛性を重視した独自のセッティングを行っています。

運転上のメリット
 全車電動車にすることによって、運転上にも多大なメリットが生じます。たとえばストリームラインでは4両もしくは6両編成の運転ですが、全車電動車とすることでブレーキシステムが単純化できます。T車遅れこめブレーキのような工夫も不要で、すべての車両が回生ブレーキを使用し、失効すればすべての車両が空気ブレーキに切り替わります。そのため前後衝動や重心移動とは無縁で、マージンを見込むことなく高い減速力を常用できます。ストリー ムラインが減速力を4キロ/秒としているのは、ブレーキの安定性能の賜物といえます。
 また、4連以上の場合必ず2コントもしくは3コントとなりますので、1コント不動でも全負荷運転(通常は定格もしくはそれ以下で動かしています)で近くの待避線なりに収容でき、輸送の安定性に大きく寄与します。ストリームラインのように列車密度が高い路線では、1列車が本線を塞ぐとダイヤの乱れが収束するまでにたいへん時間がかかります。したがって、かならず2コント以上という安心は何物にも代えがたいのです。

ストリームライン特有の条件
 このように全車電動車にはさまざまなメリットがあることから、ストリームラインでは今後も全車電動車の方針を崩すことがないと思われます。しかし、これらのポイントはストリームライン特有の条件があってこそで、他社にこのメソッドが適用できるとは考えていません。
 ストリームラインは1970年に架線電圧を600ボルトから1500ボルトに昇圧しました。600ボルト時代から輸送力増強に追われていたため変電所の数がすでに多く、電動車の数を増やしても変電所の増設はほとんど不要という幸運がありました。
 また、ストリームラインは伝統的に三菱電機のモータを採用していますが、三菱電機のモータは低速トルクが太く、定格回転数が低目という特徴を持っています。そこでギアリングを上げて高速性能を確保するわけですが、そうなると地下鉄直通の際の取り決めである加速力3.2キロ秒以上という条件をクリアするには電動車の比率を増やさなくてはなりません。また、普通電車の場合最低でも時速54キロまで4.5キロ/秒で加速しなくてはならないため、いずれにせよ全車電動車以外考えられないのです。このように、さまざまな理由からストリームラインでは頑なに全車電動車の構成をとっているのです。
 
6基のパンタグラフを振りかざし、時速110キロで快走するストリームライン。低速での集電電流が過大なため、SL-5を除いてパンタグラフは1両1基が原則となっており、架線寿命を激しく縮めてしまう問題があります。

サマンサ 2013-2014
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