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湘南ストリームライン

 
810形

 
■基本性能(2013年現在)
編成:811(cMP)+812(cMCS)
重量:36.7+36.4
モータ出力:MB-3020(125キロワット)×4/両 ギア比5.85
制御器:ABFM-148-15MHA
ブレーキ装置:HSC
加速力:33キロまで4.0キロ/秒 54キロまで3.0キロ/秒(混雑率250%まで一定)
減速力:常用/非常4.5キロ/秒 最高速度:100キロ
 
 810形は800形をベースに、塩害で悩むストリームラインにメインテナンスの削減となる軽合金車を提案するために試作された車両で、1965年に2両が製造されました。

塩害と特許との戦い
 ストリームラインの茅ヶ崎〜平塚・小磯間は海のそばを走るため塩害による被害がひどく、他の鉄道に比べて腐食の進行が速いのが悩みでした。そこで、錆に強い軽合金の車両を導入したいとストリームラインは強く思っており、なじみである近畿車輛に相談しました。
 当時、軽合金車両に関しては川崎重工がアルミボディを、東急車輛が米国バッド社との技術提携によりステンレスボディの車両を製造していました。近畿車輛がここで軽合金車両の提案ができないとなると、ストリームラインの受注を他者に奪われてしまうのではないかという危機感から、事実上気合と根性で製造した車両です。
 もちろん近畿車輛も相応の技術力はあるので、軽合金車両を製造すること自体は難しくありません。しかし、そこに立ちはだかったのは特許の壁でした。抵抗スポット溶接によるステンレス車両の組み立てはバッド社の特許に抵触するため(専用の機材も売ってもらえないため)、溶接方法を涙ぐましく工夫して特許をたくみに回避してつくられています。したがって810形の車体には、ステンレスカーの特徴であるスポット溶接痕がありません。その代わりいたる所にくぼみがあり、接合材をはめ込んでロウ付けするという手法を採用しています。当初はロウ付け部分の腐食が懸念されましたが、まもなく製造から50年になろうとする現在も、目立った劣化は見られないようです。実際にデビューから1年たったときに、改めて車両をバラバラにして腐食の度合いを調べた結果劣化がまったく見られず、従来の鋼鉄車両に比べ圧倒的なアドバンスがあることを確認できました。しかし、ストリームラインにおいてステンレスカーは横浜市交通局から2000形を購入するまでこの2両にとどまり、1985年のSC-3がアルミボディで登場するまでは、鋼鉄製の車両を作り続けました。ステンレスカーには技術面のほかにももうひとつ越えなくてはならない問題があったのです。

SL-2(04形)を電装解除したt(スモールトレーラー:14メートル級車両)を挟んだ4連運転で平塚市内の軌道線を走る810形。当時の性能では急行用がもっとも適した使い方でした。

低価格との戦い
 巧みな特許回避によって近畿車輛もステンレスカーを提案できるめどがつきました。しかしそこに更なる問題が立ちはだかりました。
 価格です。
 乱暴な話になりますが、鉄道車両に使う鋼鈑と同等の量をステンレスに置き換えると、ざっと鋼材の価格だけで5倍ほど上がってしまいます。それではいくらなんでもストリームラインに買ってもらえないので、車体はかまぼこのような切妻となり、さらに車体幅を200ミリ、車体高さを100ミリ、全長も17,500ミリから17,250ミリに詰めるといった、涙ぐましいまでの資材節約を行っています。
 さらに車体だけでなく、機器類もありあわせのもので間に合わせるという手段をとりました。モータはどこからか調達してきたMB-98A(75キロワット/860rpm)、制御方式もHBFという間に合わせっぷりです。それでもステンレスボディによる軽量化(…と言うほどでもありませんが)により、走行性能はたとえばSL-2などと比べればかなりマシで、中間に14メートル級のトレーラを2両挟んだ2M2T編成で急行電車として活躍したりもしました。もっとも、これではギア比3.85なので最高速度はともかく、加速力は2.0キロ/秒がやっと。ストリームラインでは問題なくとも横浜市電の区間で信号待ちを食らうと、後から市内電車に煽られることもあったそうです。
 一方の高速性能は、弱め界磁の結線を無理矢理引っ張り出して950rpmまでまわすことで定格38.1キロ、最高速度65キロをターゲットに入れていましたが、標準軌で踏ん張っても板枠台車の悲しさで乗りごこちは最悪。SL-3がシュリーレン台車ですべるように走るのと比べると悪い意味で「雲泥の差」でした。
 そんなわけで早々に足回りの更新をしたかったのですが、その後降ってわいたような地下鉄直通計画に予算が割かれ、810形は新造車両ながら小磯線や寒川線などに閉じ込められる運用がしばらく続き、ます。地下鉄直通計画が策定される前に作った810形は貫通扉がなく(なんせ貫通扉をつけるとそれだけで価格が上がります)、また車両寸法も地下鉄の直通基準を満たしていないため、改造は後回しにされてしまったわけです。
 ようやく1989年にシュリーレン台車KD-36sとMB-3020モータ(型番からわかるとおり、700形からのセコハンです)に換装。制御方式もABFM、ブレーキはHSCとなりました。このとき合わせて冷房改造も行ったため、機器配置の都合から2両で1ユニットを組むこととなります。その際1M1Tでもよかった(4M永久直列制御)のですが、何を血迷ったのかMM'ユニットを組んだため、冷房化の重量増もなんのその、加速力は更新前の2倍という性能向上を果たしました。ただ、その割に制御段数が24段しかないため、電機子チョッパ制御のSCシリーズに比べ相変わらず乗り心地が今ひとつという評価になってしまったのは残念なところですが、性能面ではSCシリーズと同等になったため貴重な戦力としてSC-1(500形)と連結して本線普通電車としても活躍しました。もっとも2ドアなのでラッシュ時はあいかわらず支線運用でしたが……。
 その後は普通電車は4ドア4連の車両で統一する方針となって810形は本線運用を失いますが、小磯線では特に2ドアでも問題がなく、限流値減NFBを使用することで電力設備が貧弱な小磯線では重宝され、現在でも予備車両という立場ではありますが、車籍を有しています。

冷房改造および床下機器を更新した810形。集電容量増大のためダブルパンタになってごっつくなりましたが、車体の劣化は皆無だったのでボディはまったくいじっていません。

軽合金車両への道しるべ
 結局のところ、ステンレス車両は技術の壁を越えることはできても、価格の壁を越えることはできませんでしたが、軽量化による車両性能の向上は思わぬ副産物でした。14メートル級の車両から転用した足回りで17.5メートル級の車両を動かすことができる、つまり性能はそのままで輸送力を向上することができたわけです。つまり、購入価格はたとえ効果でも「稼げる電車」になる可能性を示したと言う意味で810形の価値はあった、というのがストリームラインの見立てです。
 近畿車輛でもその後、軽合金車両を低コストで作る研究が続けられ、アルミ押し出し材による組み立て方法を編み出し、ストリームラインも1989年製造のSL-6(250形)より全面的にアルミボディの車両となりました。そういった意味で810形は、ストリームラインの車両に対する考え方の大きな転換点ともなった車両で、職員の中には思い入れをもって接している人も少なくありません。

810形は現在は予備車両となっているためめったに営業運転に使われることはありませんが、夏ダイヤで小磯線が大増発されるときや教習用の車両としてまだまだ活躍が続く予定です。

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