Mループ

 

5601=5701形

 2004年に登場した5401=5501形は価格もこなれて性能もそこそことあって、aiループの標準車両としての増備が内定していたが、2008年に当時1周72分で運行している快速の上位列車、特別快速を設定することが決定※1。特別快速の設定にあたり「1周59分運転」を行い4個列車で効率よく走らせることが厳命された。
 これに基づいて運転曲線を5401=5501形で引いたところ、66分以下には詰められないことが分かり、いったん5401=5501形の製造を中断し、新形式車両を製造することとなった。これが5601=5701形である。
 特別快速の使命はただ1周59分で走ればいいというものではない。できるだけ多くの駅に停まって旅客を集め、名古屋なり千種へ速達輸送しなくてはならない。つまり、停車駅はある一定以下には減らせないわけだ※2。そうなると駅間の速度でなんとかするほかなく、加速・減速性能や曲線通過速度を向上して7分を詰めなくてはならない。それも、コストを極力抑えてだ。
 そこで、5401=5501形では2M2Tだったのを3M1Tにしてパワーアップ。さらに車体傾斜装置を取り付け、半径200メートル以上の曲線を本則+15キロで走ることとなった。そうなってくると重心を下げて操作性の向上を図るため、ボディをアルミのシングルスキンで制作することになった。2008年でシングルススキンとは前時代的な感じもするが、少しでも重心を下げたいという思いを日本車輌に通した結果である。※3

運転台後部に窓がないのは5401=5501形も同じだが、5601=5701形は剛性確保のために乗務員ドアと客室ドアの間が5401=5501形よりも伸びている。

 シングルスキンは軽量化には大いに寄与するが、車体剛性・遮音性に劣るためその分は何らかの形で埋め合わせる必要がある。5601=5701形はすべての窓を固定窓として遮音性を確保している。また、先頭車の運転台直後の窓が省略されたのもひとえに剛性確保のためである。
 また、空気バネによる車体傾斜を行うため、コンタもその分絞らなくてはならない。※4そのため正面から見ると、情報に2度傾いた六角形断面となっている。たかが2度、されど2度。この微妙なコンタのために、標準的な治具が使えず、やむなくアルミ削り出しで作らざるを得なかった。こういった「標準から外れた部分」の手間が車両価格を押し上げ、5401=5501形の1.5倍の価格差としてあらわれてしまった。
 システムはオーソドックス、というより5401=5501形と極力共通化して、保守整備の手間を軽減している。そのためモータは三菱編成がMB-5102Aで東洋編成がTDK-6163というのは5401=5501形と同様。しかしコントは1C6M(6M1C)×2コントとしたため、三菱編成はMAP-196-15V56、東洋編成はATR-H6190-RGとなっている。また、ギア比は6.06で5401=5501がたよりもやや高速側に振っている。これによってJR線内では半径600メートル以上の区間において最高速度130キロ、aiループ線内では54キロまでの加速力3.3キロ/秒を確保している。※5なお、ブレーキはMBSA-1もしくはHRDA-1A、駆動方式は三菱編成がWNで東洋編成がTDである点は5401=5501形と変らない。


5401=5501形(左)は軽量ステンレス構造なのに対し、5601=5701形(右)はアルミシングルスキン構造。鋼体重量は5601=5701形が約2トン軽く、その分重心も下がっている。

 台車は5401=5501形のND-540に車体傾斜機構を取り付けたND-541。両先頭車の運転台下の台車がT台車で、それ以外がM台車となる。このデザインは「先頭の台車はトルクの向上に寄与しない」という考えから選定されたもので、線路の汚れを真っ先に拾う先頭台車はスキップ/スキッドの確率が高く、トルクを有効に路面に伝達できないケースがもっともトルクを必要とする悪天候時に起こるケースがある。であれば先頭台車は文字通り「露払い」に徹してもらい、トルクを有効に活用するとしている。
 なお、最高速度130キロ対応にもかかわらずヨーダンパは未設置となっている。これは高速運転を行う東海道本線・中央本線の線形は時速120キロ運転でも問題ないほどの良好さであること、aiループ内の最高速度は時速105キロなのでヨーダンパの必要性がないこと。さらに、ヨーダンパの設置は軽量化に反する行為であることなどから設置を見送っている。※6
 車内設備は5401=5501形同様のロングシート。開業以来かたくなにクロスシートの電車を作らないaiループだけに期待は一切していなかったものの、特別快速というフラッグシップ用なんだからもしかしたら、という一縷の望みを見事に砕いてくれた。そもそも、乗降時間を1秒でも短縮したいaiループが、クロスシートなんて採用するわけがないのだが……。
 そして5601=5701形ではさらなる乗降時間の短縮を図るため、ドア幅を1300ミリから1500ミリに拡大。ただでさえシングルスキンで剛性がないボディにこの仕打ちはないだろうと思うのだが、すべての窓を固定化し、さらに運転台後部の窓を省略するなどして剛性を確保。日本車輌の古参役員に「これは21世紀のロクサン形だな」と揶揄される始末だった。※7
 5601=5701形は2008〜2010年に特別快速のローテーションに必要な4両つなぎ×6本が作られたが、価格の面からそれ以上の製造はされていない。今後は5401=5501形の製造に戻ると思われるが、2010年に5606編成がロールアウトしてから、aiループに新型車両の導入は行われていないのが現状である。 ※8

朝のラッシュ時は5401=5501形と組んで6両つなぎで走ることもあるが、当然この場合車体傾斜機能はオミットされ、運転特性も5401=5501形に合わせたものになっている。
脚注

※ 1:数駅のって名鉄やJRに乗り換える培養線的な役割だけでなく、幹線的な旅客もほしいということから、岩倉〜名古屋、小牧〜金山間で名鉄と同等の所要時間を目指した列車を設定することになった。

※2:途中16駅停車。しかもaiループの最高認可速度は105キロで、加えて岩倉〜桃花台間は単線というハンデがある。

※3:ここまでやって軽くなったのは1両あたり1トン程度。たかが1トンされど1トン。

※4:当然お値段はその分お高くなりますね。

※5:もちろん低速では高速ギア比ゆえに大電流を流す必要があるし、モータの数が1.5倍になってるのでフリーランでもそれなりに電気を食う電車になってしまったが。社内には「この電車は従来の電車の1.5倍の電力で走っています」シールでも貼るか? と言われたとか何とか。 

※6:保線部門からも軌道破壊が進むヨーダンパの設置は強く拒否された。ホントあれ使えないよな……。

※7:それを聞いたaiループの担当者は「63形と比肩しうるとはなかなかエッジの効いた電車ができたってことですな」と満足顔だったとか。それに対して日本車輌の幹部は「価格以外はな!」とけん制したとか何とか。

※8:5001=5101形の置き換え、早くしないとホントまずいんだけどねえ……ということで2015年度は5401=5501形の再生産が始まる予定。なんだかんだ言っても標準車両はホント使い勝手がいいのよ。



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