Mループ

 

5401=5501形

 愛知県の外周を走るaiループは首都圏で言うところの武蔵野線や東武アーバンパークラインに相当する路線だが、名古屋駅から10分も走れば田園地帯になる中京エリアにおいて武蔵野線ほどの旅客需要はない。※1さらに好景気の80年代後半に新規路線の開業を行った関係で車両の投資が後回しになっていた。※2そのため2003年の段階でも、1971年に応急的に投入した3000形が現役で運行している有様。A基準は満たしているとはいえ、桃花台付近の長大トンネルを轟音を立てて走る姿は現代の鉄道のあるべき姿ではなく、折しも万国博覧会「愛・地球博」の開催や中部国際空港の開港が2005年に控えていることもあり※3、早急に新型車両の投入がのぞまれていた。
 とはいえ、一挙に12両もの新型車両を投入する金銭負担を極力和らげる必要があるので、日本車輌の提案した標準品を活用した新型車両5401=5501形を投入することに決定。これを今後のaiループの標準車両として導入することとなった。
 車体は日本車輌の日車式ブロック工法。ボディはステンレス製となっている。車体幅は5001=5101形同様の2,950ミリで裾絞り。正面はFRPで成型したお面を別途取り付ける形となっている。

余談だが、aiループの広告電車はもっぱら5401=5501形が担当している。運用範囲が広く、故障も少ない(広告電車が故障したら契約面でいろいろたいへんなのだ)ことが重宝されている理由であろう。

 システムとしてはMとTの2種類に集約し、組成の自由度を高めている。そのため4両つなぎはMc+T+M+Tc、2両つなぎはMc+Tcの組み合わせとなるが、McとM、TcとTの装備は基本同様となっている。運転台の有無は別にして、MとTを1ユニットとする考えで、Mがコント、補助電源など電気関係を、Tが空気関係と運転管理システムの装備と分担している。
 ところでこれまでの車両は、コントが三菱電機、モータが東洋電機というのがaiループの標準的な構成だったが※4、5401=5501形からは、編成ごとに三菱電機、東洋電機の機器で統一することとなった※5。つまり三菱電機の編成はMAP-194-15V54コントとMB-5102Aモータの組み合わせ、東洋電機の編成はATR-H4190-RGコントとTDK-6163モータの組み合わせとなる。駆動方式も三菱編成はWN、東洋編成はTDと異なり、コンプレッサ、補助電源装置など細かい部分も各電気品メーカーによって差異があるため、編成番号の頭に三菱編成はM、東洋編成はTを付番している。なお、パンタグラフはいずれの編成も東洋電機、空調・ブレーキはいずれも三菱電機を採用している。
 キモとなるモータはMB-5102A、TDK-6163とも190キロワットで、ギア比も6.53と揃えてあるものの、定格回転数はMB-5102Aのほうが若干低い※6。しかしそこはコンピュータ時代の電車だけあって、ソフトウェアで同一の走行特性になるよう調整がかけられている。なお、TDドライブとWNドライブの取り付け口は共通なので、たとえばTDK-6163にギアカップリングを取り付けることもできるが、アセンブリーパーツが間に合わないとき以外には原則として三菱のモータには三菱の駆動装置、東洋のモータには東洋の駆動装置を組み合わせている。
 台車はND-540、軸梁式のボルスタレス台車。小牧〜春日井間のカーブが多い区間での復元過大が懸念されたが※7、3750形に履かせて試験をしたところ、旋回性能はむしろこれまでの台車よりも良好で問題ないことが確認。軽量化に寄与している。軸距は2,100ミリでどちらかというと旋回性能を重視した台車で、東海道本線内ではヨー方向の振動が気になるところだが「ヨーダンパは線路に悪影響を及ぼす」と一応準備工事はしているものの、aiループでは設置に及び腰となっている。※8
 基本性能は時速54キロまで2.6キロ/秒、最高速度は時速120キロとなっており、JR東海313系とあわせた性能になっており併結も可能。211系との連結も可能で、その場合は211系の特性にあわせた走りができるようになっている。

朝の特別快速ではJR211系と連結運転を行う運用もある。このとき特性は211系に合わせる形となるが、5401=5501形はステップレスのVVVF制御なので、完璧な同調はできない。

 ブレーキは三菱編成がMBSA-1A、東洋編成がHRDA-1。いずれもデジタル/アナログ制御で電気停止ブレーキ(純電気ブレーキ)に対応している。名前こそ異なるものの機構はほぼ同一で、ブレーキの特性、感覚も揃えてある。
 運転台は313系に合わせて片手操作のワンハンドルとなった。平坦線のaiループでは抑速ブレーキなど使う機会はないのだが、313系と操作系を合わせる意味で抑速段を設けている。また、運転台の情報はすべてモニタに表示するグラスコクピットとなっている。
 インテリアは今度こそクロスシート! という願いもむなしく頑なにロングシート。バケットタイプで奥行き61センチとかけ心地には配慮されているものの、休日の名古屋駅で313系の中津川快速と連結して運行する明治村快速では「中津川行きはクロスシートなのに……」がっかりする旅客が多いのもたしか。※9最大編成が4両という制約があるためどうしても詰め込みを考えなくてはならないのは確かなのだが、いささか残念といわざるを得ない。
 窓はすべて固定。固定窓は静音性、軽量化、車体強度の向上、車両価格の低廉などすべてにおいていいことずくめであり、空調技術が発達した今、固定窓を採用しない理由はないという理由で採用している。非常時の換気は妻部のルーバーを全開にすることで問題ないとしている。※10
 5401=5501形はaiループの標準車両として今後、5001=5101形までの旧型車両を置き換える計画が立てられたが、2008年に特別快速の設定が行われ、より高速運転が可能な5601=5701形の製造が行われた結果、4両つなぎ2本、2両つなぎ4本の12両で製造がとまっている。現在5601=5701形は必要な車両数が確保できたが、今後の置き換えは価格の安い5401=5501形で行うのか、それとも運用の柔軟性をとって価格は上がるが5601=5701形で行くのか、aiループでもまだ結論は出ていない。

実際問題、価格もこなれて軽量でそこそこの性能と、aiループではいちばん使いやすいクルマであることは間違いない。5601=5701形は確かに性能は申し分ないのだが、いかんせん5601=5701形4両つなぎ1本の価格で5401=5501形なら6両作れることを考えたら、今後の増備は5401=5501形になるのではないかというのがもっぱらの見解のようだ。
脚 注

※ 1:実際のところ、4両つなぎで毎時4本も走れば十分な需要なのだ。

※2:aiループは親会社がレジャー産業なので、バブル景気の際にいるか池周辺のリゾート開発に手を出し、必要性が高いとは思えない入鹿池線を建設している。入鹿池線の建設は現在も重い足かせとなっていることは否定できない。

※3:もっとも、万博が行われるのは長久手丘陵でaiループにはあまり関係がなかったが。

※4:どちらかのメーカーに統一できればいいのだが、それが出来ないのが名古屋独特の事情である。

※5:これをもって統一といっていいのかどうかは疑問が残るところだ。

※6:そのかわりトルクは三菱のほうが太い。駿馬の東洋、トルクの三菱の伝統はインダクションモータの現在も続いているのだ。

※7:とはいえやはり、揺れるもんは揺れる。小牧〜春日井間はボルスタつきの5001=5101形がなんだかんだでいちばん乗り心地に優れている。

※8:実際のところはヨーダンパの設置による部品点数の増加を嫌っているのではないだろうか。

※9:しかもトイレもないのだ!

※10:実際これで500キログラムは軽量化できる。




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