Mループ

 

5001=5101形

 花岡町〜尾張一宮間の「国社連絡線」が1982年に開業するにあたり、小牧ロープウェイ一宮線から国鉄東海道本線へ直通運転を行う際に造られたのが5001=5101形。1981年から1984年の間に8編成が作られた。5001=5101形は国鉄線内では最高速度110キロの高速性能が要求されたため、これまでHL系で占められていた小牧ロープウェイの車両とは一線を画した、垢抜けた電車となった。
 スタイルは非貫通の正面1枚窓。小牧ロープウェイ初の20メートル車で、車体幅も国鉄と同じ2,900ミリ。側面は国鉄113系に合わせた両開き3ドアの構成。側窓は下段固定上段下降の二段窓。これは戸袋を作らないためのデザインで、鋼鉄製の車体において腐食を防止することも考慮されている。窓はユニット窓を採用し、リソースの少ない小牧ロープウェイにおいてメインテナンス性を向上させている。

先代の貫通式車両3750形の隙間風に悩まされたため、高速で走行する5001=5101形では乗務員から「非貫通であること」を強く要求されたことから、非貫通1枚窓となった。

 直通電車は「快速」として走らせることが決まっていたため、45キロ以上の速度域でリニアに加減速ができる特性が必要。そこで、再力行の特性に優れた界磁チョッパ制御※2を採用。 モータは4個永久直列で端子電圧340ボルト条件において出力140キロワット※1。ギア比は4.82とやや中速よりのセッティングとなった。このセッティングで1M1T条件45キロまでの加速力2.0キロ/秒を確保し、かつ時速100キロからの加速力0.2キロ/秒とまずまずの性能を確保できた。特に弱め界磁起動の出足やゼロアンペア制御による力行〜惰行〜減速のショックレス具合はすばらしく、「猫足」と乗務員の間でも好評だった。
 しかし、複巻モータの特性ゆえ電力設備への負荷は大きく※2、小牧〜岩倉間で2編成の5001=5101形が起動すると、岩倉変電所の遮断器が作動するトラブルが頻発。小牧変電所ができるまでは、小牧〜岩倉間に5001=5101形は2編成以上同時に入れない措置がとられたこともあった。
 ブレーキは国鉄113系に合わせるためHSC(SELD)となったが、せっかくの複巻モータということでHSC-Rを採用。これが実に曲者で、100キロからのダイビングブレーキ中に回生が失効すると、1秒近い空走が発生し、乗務員の肝を冷やすことがしばしばあり、乗務員のなかには回生ブレーキを殺して 運転するものも少なからずいた※4。しかしそれはそれで、雨天時はレジンシューの高速ブレーキとなるため、やはり運転士の心中は穏やかではなかったそうだ。そんなこんなで運転にはいろいろと癖のある電車であったことは否めない。※5
 乗務員的にはそんなわけでミソがついた5001=5101形だが、猫足加速や空気バネの柔らかい乗り心地など旅客にはすこぶる好評。S形ミンデン台車も線路規格はともかく線形が比較的よい一宮線においては良好な乗り心地を示した。

本来ミンデン台車の特性は路盤があるていどしっかりしていないと発揮されない。尾張一宮〜小牧間は当時37キロレールで道床も薄かったため乗り心地が懸念されたが、線形が比較的よいため大きな問題とはならなかった。1989年に開業した小牧〜春日井間はカーブが多い区間だが、軌道を新設する際に50キロレールを採用し、ミンデン台車特有のカーブでの不安定感を押さえ込んでいる。

 車内は国鉄113系同様のセミクロスシートも検討されたが、駅設備が4両に制限されいてなおかつ単線区間があって列車本数が制限される区間がある以上、ロングシートで輸送力を確保すべきとなり、中京地区では地下鉄以外では異例の、オールロングシートで登場した。※6幸いにも快速なら岩倉〜名古屋間24分という短い乗車時間のためロングシートは受け入れられ、限られた設備のなかで最大の輸送力を発揮することができた。後にJR東海が211系5000番台を製造する際、ロングシートの導入を決意できたのは、5000=5100形の功績によるところが大と言わざるを得ない。
 5001=5101形は4連3本でスタートし、1989年にはaiループ全線開業に合わせて5編成を追加。8編成で環状線快速を中心に活躍したが、2004年に後継車の5401=5501形、2008年には5601=5701形が登場したため現在は3編成が残るのみとなっている。※7
 JR乗り入れ設備は有しているものの、特別快速の運用にはランカーブに乗らないため入れず、直通普通電車はJR担当なため、現在は春日井〜尾張一宮間の線内普通電車を中心に運用されている。※8
 性能的には特に問題があるわけではないが、界磁チョッパ装置や直流複巻モータ、M三動弁など製造を中止したパーツの確保が困難になりつつあり、遠くない将来全車両が引退するものと思われる。

1969年開業と比較的歴史の短いaiループだが、スタイリングの流れは間違いなく5001=5101形が作っている。特に正面1枚窓非貫通のスタイルは5001=5101形以降、最新の5601=5701形(左)まで崩れていない。

脚注

※ 1:東洋電機製TDK-8501(定格回転数1,480rpm/140キロワット)。駆動方式は中空軸平行カルダン駆動。ギア比は1:4.82

※2:三菱電機製FCM-144-15MRH。4モータ永久直列弱め界磁起動直列13段、弱め界磁無段階。

※3:複巻モータの特性上、電圧がドロップすると定出力を確保するためにその分大電流を必要とするため。

※4:特に国鉄の乗務員からはこの特性が嫌われ「猫足なのはいいけれど、気まぐれなところまで猫に似なくても……」と評判は散々だった。

※5:マスコンの操作方法が速度指令式(P1:10キロ P2:25キロ/50キロ以上で定速 P3:45キロ P4:70キロ P5:F)だったので、115系などのノッチ戻しに慣れた国鉄運転士には特に評判が悪かった。

※6:そのかわり広幅車体を活かして座面奥行きは61センチと大きくとり、1人当たり占有幅も440ミリとサイズに余裕を持たせている。

※7:アセンブリーパーツ確保のため、部品取り用として何編成か廃車する必要があったため。特に狭軌ゆえに設計に若干無理のあるTDK-8501モータは潤沢な予備品が必要だった。

※8:マスコン操作に癖がある車両の乗り入れにJR東海が難色を示したため。5201=5301形以降のノッチ刻みは電流制御ではなく電圧制御に戻った。



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